リス族のお正月
タイにはカレン族、モン族、アカ族、ヤオ族、ラフ族、リス族などの山岳民族と呼ばれる少数民族が住んでいる。先週の17、18、19日と3日間、その中のリス族の村へ行ってきた。場所はバーンロムサイから北へ約200km、チェンマイ県ウィエンヘン郡ウィエンルアンという所にあるバーンヒンテオという村。目的はリス族のお正月を見るためだ。リス族のお正月は、毎年モーピーと呼ばれる霊媒師のような人によって決められるそうで、今年のお正月は1月18日。
18日の朝、目が覚めると村中からタンタンタンタンタンという音が聞こえていた。見に行くと、みんなで餅をついているところだった。リス族の人達は日本のように杵と臼を使うのではなく、木でできたシーソーのようなものを使って餅をついていた。片方の先が杵のようになっており、もう片方を5、6人の人がバタンバタンと踏んで餅をつく仕組みになっている。この餅つき機は、同じ方法で米の脱穀にも使われるそうだ。蒸したもち米にゴマをまぜ、餅つきが始まる。木を踏むのは若い女性の仕事のようで、男性は反対側で餅の形を整えている。つきあがった餅は、隣でお酒を飲みながら待っているおばさん達によって程よい大きさにくるくる丸められていく。この餅つき機、けっこうスピードがあって、どんどん餅がつきあがっていた。つきたての餅を食べさせてもらったが、日本の餅とかわらずおいしかった。
夕方になると、村の中央の広場に木が立てられ、モーピーが呪文のようなものを唱えながらお供え物をしていた。そして、暗くなったあたりからその木の周りでお正月の踊りが始まった。みんな手をつなぎ、笛の音にあわせて木の周りを回りながら踊る。昔は各家々を踊りながら回ったそうだ。踊りは途中までしか見なかったが、翌日に聞いてみると明け方近くまで続いたそうだ。
リス族の村の山の入り口には、普段は近づいてはいけないという精霊を祭ってある場所がある。19日は朝から村の男達が全員、鶏や豚、酒、線香、紐などのお供え物を持ってこの場所に集合した。この場所には女性は入れないそうだ。全員がそろいお供えをしたところで、モーピーが呪文のようなものを唱え、みんなで精霊にお祈りをする。お祈りをしている最中に何人かは爆竹を鳴らしていた。お祈りが終わると、その場でお供え物の鶏や豚を食べ、酒を飲む。そして、モーピーのところへ行って、持ってきた紐を首や手首に巻いてもらっていた。鶏は丸々1羽供えられているのだが、その鶏を食べる時にみんなが真っ先にするのが太ももの骨を取ること。この骨で今年1年が占えるそうで、骨に小さな穴が2つ開いているのが良いらしい。1つしか開いてないと悪く、3つ以上あいていた場合はとても悪く、もう1羽供えなおさなくてはいけないそうだ。
リス族のお正月は、村の大きさによって4日から8日ほど続き、この他にもいろいろな行事が行われるそうだ。19日の午後には村を出発したのだが、その時も村の人達は踊りを踊っていた。周りを山に囲まれ、電気もガスもない、普段はとても静かなこの村も、お正月の間は爆竹が鳴り響き、とてもにぎやかだった。
記 寛人
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